また逢う日まで
いつも通りの大学からの帰り。
珍しく起きていた自分がいた。
普段は最寄駅までぐっすりのはずなのに。
そして列車は大宮駅に到着する。
ふと窓の外を見ると、そいつがいた。
そいつは11番線のさらに向こう側で、無動力の状態でたたずんでいた。
(そうか、今日なのか…)
友人から教えられていた日程と1日ずれていた。
けど、大学が忙しくなっていて、そんなことも忘れてしまっていた。
(どうしようかな)
正直、億劫でもあった。
(カメラもないし、一旦帰ろう…)
家に帰るまでの間に悩んだ末、行くことに決めた。
カメラと三脚を持って、来た道を戻る。
そして再び大宮駅へ。
駅は帰宅ラッシュと重なって、慌ただしい雰囲気だ。
8,9番ホームには、北へと向かう列車が引っ切り無しに到着しては発車していく。
11番ホームにも等間隔で直通列車が着発する。
その裏の言うなれば14番線でそいつはゆっくりとたたずんでいた。
以前は今いる位置から4本ずれた線路上を荷を牽いて堂々と駆け抜けていったものだった。
が、今は牽かれる立場だ。
シャッターを切る。
同じ思いの人が行ったり来たりしてそれぞれの写真を撮る。
こいつの後ろには、まだまだ現役の姿も。
反射板がまさに今のこいつの立場を物語っている。
浮かび上がる車体。後ろのライトがなんとも。
黄金の[髙]も健在。
回送車票。そこにはEF65-535の文字がしっかりと。
東芝製。
確かに大宮にいた証。
時も忘れて撮影していた。
日が長くなったとはいっても、辺りはすっかり暗くなった。
途中でボンネット車のホームライナーや北の大地行きの寝台特急もやって来たが、構わずこいつと向き合った。
最後に1枚撮って帰宅客でぎゅうぎゅうの列車に乗り込んだ。
周りは疲れ切った顔をした人ばかりだったが、自分は撮りに来て本当によかったという気持ちでいっぱいで、不思議と疲れは感じられなかった。
ありがとう。また逢う日まで…